FRISKELION

漫画の感想を淡々と書き続けるブログ。みつどもえの個別記事も余裕ができ次第、更新します。


カテゴリ: 21巻以上で完結

「誰よりも速い球を投げたい!」
芳陽高校野球部に特待生組として入部した金髪男・新田英吾。
入部早々、プロ注目の川原キャプテンからストレートだけで三球三振を奪う。
新エースの到来に甲子園出場へ向けて盛り上がる芳陽高校野球部だが、
新田には日によってコントロールの良し悪しが変わるという致命的な欠点が…。
古谷野孝雄が、ANGEL VOICEの連載前に月チャンで11年間連載していた
高校野球漫画。面白いに決まってるので、いきなり全巻まとめ買い。

髭面で大型の監督はだいたい近寄りがたい、超強い、冷たい、実は優しいという
不文律があるけど、遠山監督に関しては「照れ屋」という属性が追加されて、
周りからガンガン突っ込みが入るカオス。他にも作中最強クラスの川原、
特に誰も触れないけど異常に老人顔の村上、新田に対抗心を燃やす桜井など、
脇役も非常にキャラが立っていておもしろい。さすがにAVと比べると、
初期は表情や白い背景に違和感もあったけど、絵も話もギャグも安定してる。
後付設定もあるっぽいけど、初見ではあまり違和感ないからセーフ。

同地区の巣ヶ北の新入生・奈倉が甲子園常連校を完封、直球は150km/hと聞いて
新田も練習に熱が入る。完璧なオーバースローから投げ下ろすストレート。
受ける者、見る者を興奮させる。先輩相手でも乱暴な振る舞いをするのは、
いただけないが、悪意も裏表もなく豪快な性格は気持ちが良い。
バッセンの球速測定で憤慨しているけど、マウンドと条件が違いすぎるし、
…自前のスピードガンや球場の表示は正確なのかという疑問は置いといて…
仮に思ったより速度が出て無くても、新田のストレートは回転量が多くて、
バットの上を抜けていくようなノビのある球だから、打ちにくいと思う。

「夏の甲子園で全国をわかせたバッテリーの本当のスタートだった」という
文字が語るように、しばしばナレーションベースで未来や過去が明かされる。
それ自体はストーリーに関わるほど大きな意味はないけど、読み手の想像が
膨らんで良い。邪魔しない程度に、期待を裏切らない程度に入るのが良い。
ちょいちょい下品なネタも入るのはご愛嬌。割りと効果的に働いている。


GO ANd GO 2巻 古谷野孝雄


GO ANd GO (1) (少年チャンピオン・コミックス)
GO ANd GO (1) (少年チャンピオン・コミックス)

久しぶりに単行本の感想でも。現実逃避では…ない。たぶん。

皆さんご存知、浦沢直樹先生の柔道漫画。最近完全版の刊行が始まった
MASTERキートンしか読んでいなかったけど、他にも何か読みたいと思い
雰囲気的に明るそうなYAWARA!を選択。アニメ版は見ていないけど、
皆口ボイスで脳内再生余裕。1986年連載開始というのにビックリ。
まぁ、長期連載のスポーツ漫画はハズレない。Happy!は…そのうち。

全巻読んだあとに1巻を読み返すと、まず絵柄が意外と違う。
柔も話が進むにつれて(多少は)大人っぽい雰囲気で描かれていたけど、
初期の絵柄は新鮮なかわいさがある。あと滋悟郎の頭身が高い。
本阿弥さやかの登場時は、あそこまで強大なキャラクターになるとは
思っていなかった。典型的なへっぽこ憎まれ役から努力のライバルへ…。
性格は話が進むにつれて、ますます捻くれていった気もするが。

あとは初っ端の巴投げはもちろんとして、パンチラが多い。
というか、巌流寺高校戦でも巴投げを使っていたんだな。
普通の女の子と同じように恋をしたい柔が、錦森にうつつを抜かし、
アドレス帳を見ながら固定電話を使う描写は、時代の流れを感じる…。
と、一昔前の漫画を読むたび形式的にそう思う。

1巻で柔はさっそく滋悟郎おじいちゃんの策略に嵌められるけど、
周りの後押しもあって試合に参加。なんだかんだ運命を呪いつつも、
普通でない才能を持ち、普通でない努力で鍛えた柔。
柔道が義務になっている彼女にとって、稽古に明け暮れるのは不本意。
しかしこの先、柔道を通して多くの人と出会い、自らが周りの生き方に
大きく影響を与え、自分の意志で柔道を続けていく…。
技術的には完成していたけど、精神的に成長する過程は一応ある。
「可愛らしい女の子」の理想像なので、都合よく描かれているけど。

無敗を誇る猪熊柔の強さは自分の好みと合致。場合によるけど、
最強主人公は大好物だ。柔道スポ根一辺倒ではなく、ラブコメ、友情、
そして富士子。読みやすくてエンターテイメント性の高い作品。
完全に浦沢直樹の術中にやられている……大ヒットも納得。


YAWARA! 2巻 浦沢直樹
YAWARA! 29巻 浦沢直樹


Yawara! (1) (ビッグコミックス)
YAWARA! (1) (ビッグコミックス)

今さら説明は不要だと思うけど。侵略!イカ娘とは、安部真弘先生による
海を汚す人類を懲らしめようと地上に進出したイカ娘の奮闘を描いた
人類征服コメディー(単行本裏表紙より)」である。そうだったのかー。

改めて1巻を読み返すと、イカ娘かわいい。あれ?何度読んでもかわいい。
単行本だと各話2ページ目大ゴマのロゴや作者名が消えているので違和感。
元々絵がプロレベルな安部先生だけど、連載当初は全体的に目がデカくて
頭身が低め。コマ全体も少しクドめで、今のほうがコメディテイスト。
イカ娘も今は前髪の面積>帽子の面積だけど、帽子の角度が違うこともあり
逆になっている。あとは初期の栄子に下まつ毛があって違和感、など。
しかし当時からイカ娘の胸はなにか変わらぬこだわりがあると思う。

1巻のエピソードとしては侵略者の徐々に明らかになるマヌケな生態と
未知なる環境からいろいろと吸収する様子がメイン。新鮮だ。
初めは人類に絶望をしていたが、海の家れもんを中心に地上の人々と
交流をすることで少しずつ考えも変わってきているように感じる。
早苗の凶気や汎用ヒト型兵器チヅルという抑止力もあるのだろうけど。
第11話、登場2回目にしてイカ娘を震え上がらせる早苗には笑うしかない。
お色気担当が他にいないせいか、ヒップのラインがいやらしい。
1巻でも開眼した千鶴を何度か拝めるということは覚えておこう。
おまけ4コマで早苗に謝るイカ娘が複雑だ。優しすぎる侵略者……。

イカ娘というキャラが立ちすぎていることもあり、全体の印象としては
笑いどころやオチの風速は弱めだけど、基本的にオチなし意味なしではなく
…意図的におとさなかった回で「オチなし」というのは狭量的で好かない…
笑えるところはしっかり笑えて、ギャグ的ノリも作品を盛り立てていると思う。
一時期怪しかったけど、どの巻もまとめて読むと結構楽しめる印象。
また読み返したとき、どう感じるだろうか。今から楽しみだ。

1巻ラストの第19話・祭りじゃなイカ?で千鶴が
気づかない間に私たちの心は侵略され始めてるのかもしれないわね
と言ったように、その魅力は読者の心も掴んで離さない。
この魅力は単にイカ娘というキャラクターだけが作り出したものではなく、
「侵略!イカ娘」という作品全体が創り上げていったと感じている。
その最初の一歩がイカ娘という強烈なキャラクターであることに
間違いないと思うが…なにはともあれ、イカ娘かわいい。



侵略!イカ娘 1 (少年チャンピオン・コミックス)
侵略!イカ娘 1 (少年チャンピオン・コミックス)

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