FRISKELION

漫画の感想を淡々と書き続けるブログ。みつどもえの個別記事も余裕ができ次第、更新します。


カテゴリ:漫画感想 > ★★★

父・後藤可久士は10歳の愛娘・後藤姫に隠し事をしていた。
かわいい娘の笑顔を守るために、決して知られてはいけない秘密。
それは、自身が下ネタ漫画でそこそこ人気のあるベテラン漫画家であること。
斜に構えた皮肉、徹底的な自虐、漫画家あるある、そして親子愛。
いつもの久米田康治だけど、ちょっとだけいつもと違うショートコメディ。
そして物語は、18歳になった姫が扉の鍵を開けるところから始まる。
「隠し事は、描く仕事でした」

後藤可久士は隠し事、後藤姫は秘め事のアナグラムだろうか。
毎巻の描き下ろしで18歳の姫が可久士の隠し事を知るという、斬新な手法。
まだ情報が少ないので何とも言えないけど、可久士が再起不能とか、
そっち系ではないような気がなんとなくする。雰囲気は出てるけど。
「漫画」というのが何か意味がありそうな気がする。気がしてばっか!

冒頭だけでないのがポイント。最終回付近の未来で伏線回収ではなく、
逆説的な伏線として、過去と未来の両面で想像させるのがおもしろい。
単純だけど凝った仕掛けに親子愛のテーマが入ることで、より厚みが出る。
時系列シャッフルと同様に、微細な動きも意味を持っているように見える。
海辺の景色と朽ち果てた家をカラーで描くのは強い。そして切ない。

連続性のある数回を纏めて1話として収録しているが、毎回の締めに入る
漫画誌風の可久士のあとがきが面白い。たまにズレたコメントで笑う。
藤田和日郎っぽい人が出たり、締切に追われる果ての奇行、鎌倉病、
単行本の帯、公安の話など、実体験に基づいて再構成された話は良い。
一番人気の読者プレゼントは5000円のクオカードとかはやっぱりな、と。

慰安旅行に台風が直撃し、暇すぎて漫画を描きまくる話に笑った。
まぁ、実際こんな感じでないとプロは務まらないのかもしれない。
可久士がうっかり女性陣を口説いてしまうラッシュはさすがにファンタジー。
娘の運動会に謎の女性が3人集まっていたら、むしろ話題になりそうだが…。
ところでなぜ「風の大地」をパロって「風のタイツ」にしたのか。攻めるなぁ。

毎月のあとがきの、ベタな姫にグッとくる。あざとい。だがそれがいい。
メガネは縫えないと指摘される姫がさり気なくかわいい。かわいすぎて死ぬ。
「知ってるもん」。うへへ。なんだかんだ姫以外の女性陣も良い味出している。
六条一子はわざわざトーンを貼るなんて…と思ったけど、今はワンクリックで
終わる時代か?風情がない(適当)。読み手の意見なんて案外いい加減である。
ブレイクタイムの、漫画家のリアルについて語るコラムも安定しておもしろい。
久米田康治の描くプリキュアやドラゴンボールも是非見たい。


かくしごと 2巻 久米田康治


かくしごと(1) (月刊少年マガジンコミックス)
かくしごと(1) (月刊少年マガジンコミックス)

サイカチの師匠が帰ってきた!昆虫×美少女の「実用」漫画。
虫にまつわる問題を、白衣の女子高生・榎稲穂が颯爽と解決。
表紙詐欺…ではない。無意味なサービスカットも売りのひとつ。
カバー裏の漫画は完全にムシが関係ない…。

で、いきなりヒアリの名前が出る。普段は取るに足らない小さな虫でも、
性質や数の前には、人間がいかに無力かを思い知らされる。
ベタだけど、無意味な殺生はせずに極力逃したり、共存の道を選ぶのも良い。
人を憎んで虫を憎まず。自然の摂理に反した行いは戒める。名奉行。
一話完結で、虫の薀蓄(ムシチク)を中心にうまいこと言いつつ
話をまとめる感じが素敵。読みやすし、知識の入る感じが非常に良い。
タモリ倶楽部の毒虫特集で見たムシがちょいちょい出てなんかおもしろい。

パワーと身長と大胸筋に定評がある稲穂。サイカチと違い、あずきという
同世代の友人がいるのでちょっと表情が豊か。かっこいい場面も多い。
ロリ枠も健在。かりんの大胸筋が凄まじい。あやかたそ〜。
アナフィラキシーショックはこの漫画で2兆回は出てくる重要ワード。
スズメバチ以外の、そんなに毒性のなさそうなものでもおなじみ。へー。

描き下ろしのおまけマンガは、露天風呂で全裸の美少女たちが
虫の恐ろしさについて語る謎の光景。サイカチメンバーも合流。
アマミとリンの昆虫アイドルコンビ…アマミの大胸筋が将来有望すぎる。
清水はコスプレが似合いすぎていたので、脱ぐと誰だかよくわからない。
あさがおの大胸筋もまだまだこれから。全裸演説の師匠は様になっている。


サイカチ 白衣の少女と秘蜜のクワガタ 1巻 藤見泰高・カミムラ晋作


ベクター・ケースファイル 稲穂の昆虫記 file NO.1 (チャンピオンREDコミックス)
ベクター・ケースファイル 稲穂の昆虫記 file NO.1 (チャンピオンREDコミックス)


時間からエネルギーを取り出すことが可能となった200年後の未来。
しかしその影響で過去の時空間に歪みが生まれ、想定外の歴史の改変が多発。
自分たちの生きる人類史を「CLEAR AGE(確かな時代)」と定め、
時空修復官の手によって修正される時空亀裂と歴史。
そして20XX年。時空修復官の任務中に発生したトラブルにより、
ジン・トライが過去の日本に漂着するところから物語は始まる…。

という設定自体はなかなかハードなSF。その実態は時空改変をしないように、
仲間の救出を待って静かに暮らしたいジン・トライのSFコメディ、か。
屈強なおっさんが6畳間で寝ている謎表紙はそれを表しているのだろうけど。
あらゆる端末への侵入をアシストする手首につけたサポートマシン。
膨大なデータから探している情報を取得する対話型のAI(ライブラリ)。
脳の処理を一万倍まで高め、脳内の仮想空間で思考を巡らす「フルアクセス」。
楽しいSFの要素が詰まっている。いや、SF作品を見たことないけど。
サブタイトルと扉絵もSF作品をパロっている。わからないのでもったいない。
施川ユウキ作品もそうだけど、他の知識をちゃんと漫画に落とせるのが凄い。
設定だけ見るとリアルロボット風の中表紙の方がそれっぽい。

で、本編ではいきなりロリ登場。わかってらっしゃる。
ちょっとしたことで未来が変わるのに、口座をつくって必要最低限の金額を
操作するのは時変値に影響はないらしい。展開上仕方ないとは言え、深い。
波野さん。美人大家なのに、PIYOPIYOのエプロンを着てないのが残念。
この世界は、俺達が知っている歴史と違うようだな。改変されている。
最初は独身っぽい雰囲気だったけど…もう1人以上は生まれるのだろう。

食文化を知らない未来人が普通に食事をするだけで、それはもうグルメ漫画。
肉じゃがの食べ方や塩分過多に翻弄されるトライに笑った。
素朴な疑問をぶつける姿は、下手なグルメ漫画よりよっぽどグルメ漫画。
描き下ろしでこぼしたおしること格闘するのは、それ自体は平凡な事件だけど
全体を通すとこの漫画でしか成立しない完璧なネタだと思った。うまい。

トライが暮らす未来は、合理的な世の中らしい。まぁ、その合理的も
所詮は現代に生きる人の発想だから、本当に合理的かはわからない。
演算処理の向上で大抵の答えがハッキリしてたり、完全分業制で個々の目的が
決まっていたりするので、「なんとなく」は許されないのだろう。
まぁ、「なんとなく」は論外にしても、自分の直感とかないのだろうか。
あるいは直感を的確に言葉にできるのか。興味深い。

大家の娘・舞花が超かわいい。天使。これぞカミムラ作品。
未来の子どもは舞花のようにフリーダムではないのだろうか?
トライとライブラリがやり取りがなんだか笑える。
特にバタフライエフェクトにABEAの乱数調整で挑む2人がおもしろい。
時変値増大の原因は、大きな屋敷で暮らす若い科学者とメイド。
メイドがでかい武器を持っているのは一般常識だろ?変な未来だな。
2人がトライの乗ってきた船体に使われる金属「クロノジウム」の欠片を
拾ったことが今回の原因で…トライは静かに暮らせない。次巻へ続く。
あれ、ところでタイトルの「おとうふ」は?


おとうふ次元 2巻 森繁拓真・カミムラ晋作


おとうふ次元 1 (MFC)
おとうふ次元 1 (MFC)

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