訳あり運転手が集まる”(株)ゴミ山タクシー”に”ヒメ”がやってきた!
タクシー運転手・矢野陽芽が、様々な事情を抱える乗客の悩みを解決…
というか、いろいろ話したり、気を遣ったりして、何かが変わる。そんな話。

しかし事情を抱えているのはヒメも同じで。
父親の事業失敗により大学を中退後、A級ライセンスのプロレーサーとして
世界で活躍するも、結婚を機に引退。その後、2人の子宝に恵まれたが、
実業家の夫が殺人事件を起こして服役…そして今に至る。
事前情報無しで読んでいたので、訳ありシングルマザー設定には驚いた。

明るさ、物腰の柔らかさ、女性らしい気遣いで、お客の心を掴むヒメ。
そして贔屓だ未熟だと文句を言う同僚のおっさん連中も実はメロメロで、
ヒメのいない居酒屋でもヒメの話ばかり、という雰囲気がおもしろい。
特に「ヴァレンタイン・ロード」でおっさんが力を合わせて
側溝にハマったヒメを助ける場面は熱い。

「透析・ロード」では「ナマステー ゴミステー」という子どもの保育園で
流行っているギャグを連発するヒメ。かわいい。
特に意味はない言葉で、ざっくり「良いようになれ〜」と解釈した。
横暴なワンマン社長っぽい猪又だが、浮気をしていると思っていた若い妻と、
東京のコンビニチェーンで働く裏切り息子が、実は猪又のいない会社を
なんとか盛り上げようとしていたり、客目線で自分のスーパーに見て
管理の悪さに激怒して奮起するという、ベタな話がとても良い。

社長といえば社員から散々な言われようの児見山タクシーの社長だが、
会社の評判を考えたり、ヒメのことを気遣ったり、昔は温泉街として
栄えていたこの街の現状を憂いている様子など、普通に良い社長では。

1巻で少しずつヒメが若くしてタクシー運転手をする理由と、
旦那が正当防衛の末に殺人をしたということがわかるのだが…。
予想するだけ損なのでネタバレ。何も解決せずに全2巻で完結する。
話もキャラクターも面白いと思ったけど、そこがちょっと残念。


ヒメタク 2巻 細野不二彦


ヒメタク : 1 (アクションコミックス)
ヒメタク : 1 (アクションコミックス)